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2010.06.16

ほんものの食べもの日記第14回 ひとつぶで2度おいしいびわの季節

ぷくぷくの産毛がかわいいびわの実。ほんの少しの間楽しめる、まさに旬のくだものです。

子どものころ、梅雨前になると庭先のびわが楽しみでした。

独特の食感と香り、そして食べにくさ…
木から直接もいでお日様にあたためられたぬる~いびわを食べると
「6月だな~」という気がしたものです。

昨今のびわはきちんと栽培されたものが店頭に並び、
肌がきれいで果実は大きく、まるで箱入り娘。
田舎の野山を駆け巡っていたような傷だらけの子は、当然ですがお店には並びません。

あのきれいな肌と色になる理由は、袋をかけて栽培されるから。
びわの実は鳥につつかれることが多いことも相まって、
ひとつひとつに袋をかける手間がかかった果物なのです。

味はと言えば、小さくて傷だらけの庭先のびわに軍配があがります。
やはりおひさまにあたってるぶん、味の濃さが違うようです。

さて、びわの実は食べたあとに楽しみがあるのをご存じでしょうか。

びわの種には香気成分が含まれており、びわの実でびわ酒をつくると
非常に香りの高いお酒になることが知られています。
でも実は食べちゃいたい…そんな方に。

ちょうど6月、今は梅酒の季節。

食べ終わったびわの種をきれいに洗い、乾かして何粒か梅酒に入れると
梅の香りとびわの種の香りの混ざったいい香りのお酒になります。
ぜひ試してみてください。
(杏の種も香り高いもの。杏が手に入ったら入れてみるといいかもしれません)

またびわの種の発芽率は非常に高く、
植木鉢にまいておくとけっこうな確率で芽が出てきます。

大きくなったら大きなプランターに移してやれば、
何年か後に自家製びわを食べることができるかも…。

びわは暖かい地域の作物なので、寒いと越冬できません。
北限が宮城県だと以前聞いたことがあります(未確認です、すみません)。
宮城県以北の方は、冬は鉢を家のなかに入れてやってくださいね。

さて、6月は梅の季節でもあります。
青梅を見ると梅酒を仕込みたくてワクワクします。

平成14年に漬け込んで平成18年に実を引き上げたつけっぱなし梅酒。琥珀色の色合いがなんともきれいに仕上がりました。お味の方はまろやかで、もうぐびぐびいけちゃいそうな感じです。

梅酒は3年程度熟成させると、ほんのり琥珀色をした美しいお酒になります。
1年目にはトゲトゲしていた焼酎がまろやかになり、
1年ものとは比べものにならない味わい豊かな梅酒が味わえます。

梅酒は、焼酎と氷砂糖に漬け込むだけなのでとても簡単。

コツはホワイトリカーではなく、米焼酎の35度のものを利用すること。
少し高くなりますが、まろやかさは比べものになりません。

梅を引き上げるのは1年後と言われますが、私は入れっぱなしにしています。
おいしい梅酒を真夏の暑い日に飲む楽しみ…手作りならではの喜びです。

手島奈緒

2010.06.01

ほんものの食べもの日記第13回 きのこという作物の不思議

マッシュルームの栽培の取材に行きました。培地からぽこぽこ顔を出すマッシュルームはほんとにかわいいですね~。食べちゃいたいくらい。

マイタケ、シイタケ、ヒラタケ、エノキタケ…店頭で見かけるきのこの種類、だんだん増えてきました。
最近ではウスヒラタケやヤマブシタケなど、変わったきのこもよく見られます。

これらのきのこは、すべて人工の培地で栽培されたもの。
これを「菌床栽培」といい、きのこはその栽培に大量のエネルギーを使うことから
「電気でできている」と言われる作物です。 

きのこって生きものなのか、野菜なのか、いまいちわかりづらい不思議な食べもの。
あまり知らずに食べていますが、
実はきのこは菌類が胞子を発生させるための器官「子実体」というものなのです。

きのこが菌だと思うと、ちょっとひるむかも…。
でも野生のきのこの一生を見ていると、菌だということがよくわかりますよ。 

さて、きのこにも仲間があります。 

シイタケやマイタケなど、朽木に発生するきのこは「木材腐朽菌」と呼ばれます。 

これらのきのこは枯れ木を菌が消化し、
枯れた木のなかいっぱいに菌が繁殖して初めて子実体(きのこ)が発生します。 

栽培のきのこは、この枯れ木の代わりに人工的な培地を使って発生させているもの。
培地にいろいろ好みはありますが、木材腐朽菌のきのこは栽培できるものが多いのです。

新鮮なマッシュルームは生で食べられます。サラダにちょびっと入れると風味が出ておいしいみたいですが、好みが分かれるところかな…。マッシュルームは「腐生菌」の仲間で栽培可能なきのこです。

それに対して、栽培できないものの代表がマツタケ。 

マツタケ菌は、松の木の根と共生しお互いに栄養分を与えあっています。
こういうきのこの種類を「菌根菌」といい、特定の木との共生関係を結んでいます。 

菌根菌はマツタケのほか松露なども含まれます。
こういったきのこ類は人工的に発生させることは大変難しいため、
松露もマツタケも、天然ものしかないのです。 

まさにきのこは「木の子」なのですね。 

ところで、一般的に販売されているしいたけは、
人工的な培地で栽培された菌床栽培のものがほとんどです。 

短期間で栽培できるため、安価で供給できることがメリットの菌床栽培。
シイタケの菌床栽培は菌の植え付けから約120~130日で収穫できます。
でもきのこは「木の子」。
本来の生育の仕方で、木を分解してゆっくり育ったものの方が味も歯ごたえもいいのです。 

シイタケが木からたくさん生えているのを見たことがありませんか?
これは「原木栽培」といい、菌床栽培が主流になる前にはこの栽培方法でシイタケは生産されていました。 

重いホダ木を動かしたり、シイタケの発生に丸一年かかることから、お値段は高め。
販売する際には差別化するため、「原木シイタケ」と必ず書いてあります。 

実は私、シイタケが大嫌いだったのですが、原木シイタケなら食べられることを発見しました。
シイタケ嫌いの方は、ひょっとしたら菌床栽培のシイタケを食べていたのかも。
一度、「原木シイタケ」と書いてあるものを食べてみてください。 

食べられるようになるかもしれませんよ~。 

※6月末、岩手県に原木シイタケの取材に行きます。またその時に詳しくレポートします!

手島奈緒

2010.05.19

ほんものの食べもの日記第12回 枝豆を2倍収穫する方法

あつ~い夏。枝豆をつまみに冷えたビールをぐいっと飲む…おいし~い!

昨今では新潟の茶豆や山形のだだちゃ豆など、
これまで地域で消費されてきた香り高い品種が手に入るようになり、
東京でいろんな枝豆を楽しむことができるようになりました。

ただ、出荷された枝豆をどんなに早く食べたとしても、
直売所以外ではだいたい一日、または中一日置かれたものになってしまう、
それが今の市場のしくみです。

きちんと冷蔵されていたとしても、豆は一般的に呼吸作用が激しく、
糖分をどんどん消費していきます。

採りたての枝豆の味に勝るものはありません。

ってことで、今からでも間に合います。
枝豆を作ってみませんか。

まず種まき。

豆類って不思議なのですが、一か所にひとつまくよりも、
2~3粒一緒にまいてやる方が生育がいいのです。
サヤに入っていた仲間が側にいる方が安心して生育できるのかな…等々、
勝手に想像してしまいます。なんかかわいいですよね。

あ、種の選択を忘れていました。

ホームセンター等で売っていますが、ただの「枝豆」よりも「品種」が書いてある方がお勧めです。
茶豆系の枝豆を見つけたら、迷わずそれを買いましょう。

さて、プランターの場合は心配ありませんが、
畑にまく際にはまいた種を鳥が食べちゃうので注意が必要です。

対策としては、自宅で苗を作ること。
面倒な場合は、直播きした畝の周囲に15センチくらいの高さでテグスをぐるりと張れば
鳥はテグスにからまるのが怖くて入って来ません。ぜひお試しを。

芽が出て、葉っぱが5枚ほど展開したところで、生長点を摘み取ります。
これが枝豆を2倍収穫するコツ。

枝豆は、葉っぱの付け根に花をつけます。
葉が多ければ花の数が増えるので、生長点を摘み取ってわき芽を出してやると
最終的な収量が上がるというわけです。

私は昨年、これでたくさんの枝豆を収穫しました。
しあわせいっぱいの夏でした。

さて、マメ科の植物は、窒素分が多いと木ボケして花つきが悪くなります。
初期のチッソ分はそんなに必要なく、ある程度ほったらかしてて大丈夫。

ただ、花がついたあたりで、果菜類用の肥料を少しやり、水分も与えます。
(プランターで野菜の土を使った場合は追肥は必要ありません)

豆なんて水やりは必要ないんじゃない?と思われるかもしれませんが、
花が咲き結実して実が太っていく時期、水分を必要とするのです。

花がいつの間にか小さなサヤになり、それが太っていく様子の観察も楽しいもの。
ビールが頭をちらついて、うきうきしてしまいます。

大面積を作る場合にはこんな手間をかけていられませんが、
家庭菜園やプランター栽培では、手間をかけて収量を上げる技を使わない手はありません。

さあ、収穫したばかりの枝豆をゆで、食べてみてください。
いつも食べるものとの味の違いに、驚くこと請け合いです。

手島奈緒

2010.05.01

ほんものの食べもの日記第11回 家庭菜園の苗の選び方

いよいよGWですね! 

この時期ホームセンターには、家庭菜園用の野菜苗が出回ります。
このタイミングでいい苗を買わないと、買い逃すこともあります。 

100円未満の苗は基本的に自根苗。200円以上するのは接木苗。どっちがいいかと言われたら、味的には自根、作りやすさで接木苗ですが、露地栽培の場合作りやすさは大して変わりません。

今年菜園にチャンレジしようと考えている方、プランターでベランダ菜園をしようと思っている方、
ぜひいい苗を買って、野菜作りを楽しんでください。

家庭菜園のハウツー本を見ると、苗の選択という項目に必ず書いてあることがあります。
それは「徒長していないこと」。

なんだ、徒長って? と思う方も多いでしょう。
これは、おひさまにきちんと当たらず、ひょろひょろした苗になってしまったもののことを言います。

見分け方は、葉と葉の間の茎の長さ(節間)。
ここが長いと軟弱に育っている可能性があり、定植後に大風が吹いたりすると傷がついて、
早いうちに病気にかかったりします。

ホームセンターで見つけたけっこういい状態のトマト(接木苗)。節間が詰まっていて双葉がしっかり残っていて、第一花がついています。

しかし徒長している・していない等々を素人の目で見分けるのはとても大変。
その場合、地元のJAで販売している苗を選ぶか、
いい苗屋さんと契約しているホームセンターを探すのが手っ取り早いと思います。

私の家の近所では、UNIDY狛江店の野菜苗が割合と状態がよく、
それなりに収量も多く、大きくなってくれます。

しかし昨年、菜園準備で苗購入が遅れGW後半に買いに行ったら
いつも見ないような苗が売っていて驚きました。
店員さん曰く「前半で契約栽培の苗が売れちゃって。
いま売ってるのは普通に仕入れたもので、いつもの苗とは違います」。

その後JAに行きましたが、そこもいまいち…。
売る時期を逃したのか、ポリポットで大きくなりすぎ、徒長したものが売っていました。

決め手はGW前半の購入。
あと近所のベテラン家庭菜園家に「いい苗はどこに売ってるの?」と聞くことです。

いい苗を売っている店を見つけることが、成功の第一歩と言えるでしょう。
では実際にどんな苗を選択すればいいのでしょうか?

トマトやナスでは第一花がついているものを選んでください。

果菜類の場合、この最初の花が着果することがその後の収量に影響します。
この花が折れちゃってたりするのは言語道断。
また、まだついていない若い苗の場合、その後の管理が大変なのです。

4月30日でこの状態なので、GW中に花が咲くのでしょう。しかし最近は花がついていない苗の方が多いのですね。その後の管理が大変だ!

その他、最初の双葉が元気よく残っている苗を選ぶのも大切です。
これが枯れていたり、腐っていたりするものは、定植後に何が起こるか心配です。
プランターではなく地面に栽培する場合、この双葉、意外と大事なんですよ。

さて、いい苗を購入すれば、いい野菜がとれるものです。
夏の収穫が楽しみですね!

通常の支柱を立てて作るきゅうりよりも強い地這きゅうり。でも地這を選択するのなら、6月以降に種をまいた方が上手にできます。

ちなみに…とうもろこしの苗を見かけることがありますが、とうもろこしは実は定植には向かない作物。
(オクラも同様です)
これらの作物は、種を買って直播するのが成功の秘訣。
余った種は缶カラにでも入れて、冷暗所に保存しておけば来年も使えますから経済的です。

せっかくですから、おいしいものを作ってくださいね!

手島奈緒

2010.04.16

ほんものの食べもの日記第10回 心配ですねえ、今年の夏

あったかくなったかと思うと10度以下の日があったりして、
変な天候が続いています。

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手島奈緒

2010.04.05

ほんものの食べもの日記第9回 硝酸態窒素のお話

春作の小松菜が小さな芽を出しています。これが大きな葉っぱになるなんて少し驚きですよね。

 

「硝酸態窒素ってよくないんですよね?」
そんな質問をされることがあります。

ブルーベビーなどの原因になることが知られている硝酸態窒素。
最近またまた話題になっているようです。

では硝酸態窒素とは何なのでしょう?

作物が生育するのに必要な要素はいくつかありますが、
よく聞くのは「窒素・リンサン・カリ」の3要素。

このうちの窒素分は、植物が自分の体を作るために必要なもの。

有機栽培の場合、窒素分は、たんぱく質(有機質)→アンモニア態窒素→硝酸態窒素と、
少し大雑把ですが、このような段階を経て無機質となり、吸収されています。

化学肥料(「尿素」や「硫安」など)の場合は最初から無機質ですから、
最初から作物に吸収されやすい形になっています。
化学肥料に即効性があると言われるゆえんです。

さて、有機質肥料でも化学肥料でも、植物は「硝酸態窒素」という物質にならなければ吸収できません。
(最近ではアミノ酸で吸収しているという研究結果もあるようです)
肥料の原料の形は違えど、吸収される物質はどちらも同じ「硝酸態窒素」ということですね。

冬季の葉ものは硝酸態窒素の残留は少ないことが知られています。生育期間が長く、地面が凍ることもあるため大量の窒素を吸うことができないからでしょう。このほうれん草は肉厚でうまそうですね~。

 

吸収された硝酸態窒素は、光合成によりたんぱく質に作りかえられ、作物の体を作ります。
過剰に吸収され利用できなかった硝酸態窒素は、植物体のなかに残留し、
苦みやえぐみを感じさせる原因になります。

植物にとって必須の肥料分。
しかし、たくさん吸収されて葉っぱに残っているとよくないもの。

それが硝酸態窒素と言えるかもしれません。

ところで、日本では昔から「葉もの」という生育途中の野菜を食べてきました。
伝統的な料理法は、「お浸し」「煮びたし」など、加熱調理をするものがほとんど。

この昔ながらの調理法で、硝酸態窒素は流れ出てしまいます。
硝酸態窒素がどうしても心配!という方は、葉ものはおひたしなどでどうぞ。

葉ものを畑に置いておくとトウ立ちして菜花が楽しめます。これを置いておくと種ができます。葉ものとは、植物の生育ステージの中では、本当に初期のものを食べているということですね。

手島奈緒

2010.03.31

ごはんのおいしいワイン蔵 “オーガニックONE”訪問記

みなさま、大変ご無沙汰しておりすみません。
ファームランドトレーデイング(株)でオーガニックワインの輸入卸をしている 岡内 あゆみ です。

今回は、私どもがおつきあいしているワイン蔵を訪問した時のことを書かせていただきます。
私がここを訪問した理由、それは、彼らのワインの香りがあまりにもうっとりするほど華やかなので、その秘密を知りたかったからでした。

その蔵の名は“オーガニックONE”。産地はオーストラリアのニューサウスウエールズ州。生産者ボニック家の二代目フランクが兄弟や友人とともに、今日も情熱をこめて腕を奮っています。


初代はフランク達のご両親。実はこの家族、クロアチアからの移民なのです。
オーストラリアで心機一転ワイナリーを開墾しようと、ご両親がまだ小さいフランク達を連れてクロアチアから移り住んだのが1960年代。
当初はシドニーに暮らしながら、何年もかけて土地を探しました。
そして現在の地に落ち着くことに決めた理由は、この土地に自生していた野生の果物や野菜を口に入れてみたところ、とってもおいしかったから、というもの。ここでなら必ずよいブドウができる、と可能性を感じたそうです。

オーストラリアでもご多分にもれず、時すでに化学肥料や農薬が大流行していた頃。
一家は未開のこの地に、開墾当初からずっと無農薬を貫き通しています。

私が初めて現地を訪れたのは、東京はまだ寒い冬のまっただ中2009年の2月の終わり頃。南半球は夏の終わり、ちょうどブドウの収穫時期でした。
112ヘクタールの広大なブドウ畑、ブドウ畑、ブドウ畑。
これより上流に水を汚染するものがなく、隣の家まで車で30分ほどかかる。ブドウ畑にとって理想的なきれいな水が地下に流れる土地です。

写真は、赤ワイン用のブドウ品種シラーズです。たわわに実っています。

 

こちらはすでに収穫を終えた白ブドウ品種シャルドネの畑。いやもう広大。

 

 

敷地内に流れるきれいな小川。野生のカンガルーが水を飲みに来たのを目撃することができました。

 

画像手前はワイン用ステンレスタンク。中央は大きなおうち。奥は広大なブドウ畑。

 

フランクがブドウ栽培において大切にしているのは、無農薬でオーガニック認証を取得することはもとより、バイオダイナミック(ビオデナミ、生き物多様性)であること。

 

 畑の土には、健康な微生物が多種多様に宿るよう、自家製の堆肥を大切に与えています。

 

他家でオーガニックの餌を与えて飼われている羊たちを冬の畑に借りて放牧します。羊達は雑草を食べ、オーガニックなウ○チを畑に与えてくれます。(撮影:フランク)

そんな工夫のおかげで、彼の畑のブドウを醗酵させるとき、例えば薬品会社が開発した「オーガニックワイン醗酵用酵母」を買って混ぜたりしなくても、畑つきの野生酵母だけで健康的なよい醗酵をしてくれるそうです。

フランクが微生物にこだわるただ一つの目的は、野生酵母で醗酵させ、香りの華やかなワインを造ること。

その彼のこだわりの成果は、白(シャルドネ)はリッチなコクのハチミツのような風味、赤(シラーズ)は紅茶のような上品な香り、と、どちらもうっとりするようなワインになって現れています。

私が知りたかったここのワインの香りの秘密は、彼のこだわりと努力の賜物だったのでした。

ところで皆さんは、オーストラリアと聞いて、どんな料理を想像されるでしょうか?

オーストラリア初上陸だった私の、乏しいイメージ力では、ワニ?カンガルーの丸焼き?きゃぁ~。。。
ヨーロッパのワイン農家さん訪問時に経験したようなすばらしくおいしい田舎料理のおうちごはん、今回はおあずけだな、なんて考えていました。


その心配をよそに、一家にご馳走になったおうちごはんは、お料理上手な兄嫁の手料理、今まで食べたこともないほどおいしい巨大ピザ。

ミートソース状のパスタもいただきました。「カンガルーミートだよ」と知らされ一瞬ひるみましたが、食べてみるとクセのないとってもヘルシーなおいしさ。おかわりをしてしまいました。

そして食卓には、ここの家のワイン“オーガニックONE”が。こちらも当然おかわりです。

彼らのルーツ、クロアチアは、東ヨーロッパのアドリア海に面した、イタリアやギリシャの隣国。お料理がおいしくないわけありません。

ヨーロッパでも何軒かワイン農家さんのおうちごはんをご馳走になった経験からの私の持論。
家族が幸せにおいしいおうちごはんを食べている家は、おいしいワインを造る。

“オーガニックONE”のワインの香りの秘密は、家族仲良くおいしいご飯をたべていることにもある、と大いに納得した旅でした。

岡内あゆみ

2010.03.15

ほんものの食べもの日記 第8回 米づくりは儲かるか否か

日本全国で同じ機械を使い、同じような管理方法で栽培している作物、それが米。 他にこんな作物はありません。瑞穂の国、日本と呼ばれる所以ですね。

平成21年度のお米の価格を聞く機会がありました。

米の価格は、収穫が終わった11月~12月にかけて、JAに出荷している米農家に支払われる「仮渡金」と、翌年、前年の米が売り切れたあたりで最終価格の調整が行われて支払われる「追加分」の合計で決まります。

昨今あまり追加分が出ないというウワサを聞きますが、それはともかく。
※JAに出荷していない米農家はそれぞれの流通と価格を決めていることが多いのですが、仮渡金額は参考にされているようです。

さて、平成21年度産のアキタコマチ仮渡金は、一俵(玄米60kg)が12,300円(税込)でした。
特別栽培農産物でも有機農産物でもない、一般的な栽培(慣行栽培)での価格です。

…安いですね…。驚きました。
何年か前まで16,000円くらいだったと思ったんですが…。

日本人が一日に食べているお米の量をご存じですか? 一日約170gだそうです(平成20年度農水省統計)。約1合、お茶碗3杯…ちょっと少ない気がします。みんな何を食べてるのかな?

ニッポンの稲作はほかの作物と比較して省力化・機械化が非常に進んでいます。
限りなく効率化された結果、一戸あたりの面積もかなりの広さまで可能になりました。

そのため、一俵あたりの金額が多少安価でも、面積が広い農家であれば採算が合うようです。

しかし、中山間地の条件の悪い傾斜地などで栽培された場合、手間と経費がかかるため
18,000円~20,000円(1俵)くらいにならないと、かなり厳しいといわれます。
中山間地、とくに棚田から耕作放棄されていく、その理由のひとつ。米価の低迷です。

さあ、そこで、12,300円を検証してみましょう。

米の収穫量は10aあたり約10俵とします。
10俵採れたので、123,000円が10aあたりの売上になります。

このうち、利益はどれぐらいになるでしょう。

減価償却費、燃料、土地改良費、種苗代、農器具、修繕費等々が生産費になります。
この話をしてくれた農家の生産費は、1俵あたり約10,000円ということでした。
えーと、じゃあ、10俵あたりの生産費は…100,000円です。

えっ? ほんと? 10俵=10aだから…10aあたりの利益は…たった23,000円?
ええっ!! この価格で稲作を続けていけるの!?

東北地方では、一農家あたりの平均耕作面積は1ヘクタール以上といわれています。
(専業農家・兼業農家含めての平均)
それにしても、栽培面積が相当広くなければかな~り厳しい数字ですよね。
アキタコマチを1ヘクタール耕作したとして、一年の利益が、23万円!! ほんとですかあ!

ひょっとしたら、サラリーマンの一か月分の給与よりも安いかもしれません。
あんまりにもびっくりしたので、楽しく飲んでいた酔いがいっぺんに醒めてしまいました。

稲作には食料生産という役割以外に、とんぼやその他の水棲昆虫などの生命のゆりかごという役割もあります。これらの小さな生命が、もう少し大きな動物たちを支えています。米づくりについてもう少し考えてみたいですね。

私は知り合いの農家のお米を食べています。
翌年も再生産可能な価格が設定されていますので、上記のような価格ではありません。

が。

それにしても、ニッポンの一般的な米農家の行く末を案じざるを得ない話を聞いてしまいました。

わたしたち消費者にできることが、何かあるでしょうか?
この話を聞いてから、日々考えています。

手島奈緒

2010.03.02

ほんものの食べもの日記 第7回「すももも桃も…」

花はきれいで実はおいしい、一粒で二度おいしい桃。ピンク色の桃の花は授粉をするとピンクが濃くなります。

2月27日、土曜日、山梨県の桃農家と話す機会がありました。

今山梨県ではハウス桃の花が真っ盛りだそうです。

いっとき急激にあったかくなりましたから、開花が進んだのでしょう。
この後、露地のすもも、桃と花が咲き、果樹農家は忙しくなります。

さて、果樹は畑作と違い、一本の樹から長い間収穫を続ける永年作物です。
栽培は一年こっきりで終わりではなく、前年、前々年の影響が今年の花や実に出たりします。

りんごや桃など農薬の使用が前提の果樹類を無農薬で栽培すると、
一年目はなんとかできるけど、翌年以降だんだん収穫量が落ちていくことが知られています。
前年農薬散布をしないことで、葉が落ちたり樹が弱ったりする、そんな影響が翌年に繰り越されるのです。

硬い殻をかぶっているカイガラムシ。大量につくと樹が枯れることも…。無農薬にすると最初の何年かに大量発生することがあり、それで枯れちゃう樹もあるようです。

一度無農薬にチャレンジしたという農家を何人か知っていますが、
「そのあと収穫量が激減して、元に戻るのに3年かかったよ…」等と聞きました。
無農薬での果樹栽培はかなり難しいということですね。
また何年か無収入を覚悟しないと、無農薬栽培には取り組めないということかもしれません。

昨今話題の青森県の木村さんが「すごい」と言われる所以です。

さて寒い冬の間、果樹農家はコタツでぼんやりしているわけではありません。

前年に伸びた枝を適正に切っていく「剪定」という作業を行います。

この剪定作業、翌年にどのように花や葉がつくか、どんな具合に実がなるか、
また、その次の年にどの枝を伸ばしていくか等々考えながら切っていく、非常に難しい作業です。

切りすぎると樹が暴れて余計な枝が出てくるし、
切らないと風通しや日当たりが悪くなり、病気や虫の原因になります。

低農薬栽培を行い、おいしい果実を作るためには、風通しをよくし、
それぞれの枝(葉)におひさまがたっぷり当たるような樹づくりが必要です。

剪定の技術は、果樹農家の腕の見せどころでもあるのですね。

写真上が剪定前。下が剪定後。枝がかなり切られ、すっきりしています。すかすかのようだけど、これに葉っぱがつくとそうでもないところが不思議です。

さてすっきりした枝の花芽がぷっくりとふくらむと、花はもう間近。

すももや桃は、自家受粉(自分の花粉で授粉できる)できる品種と
他家受粉(自分の花粉ではうまく授粉できない)する品種の2通りがあります。

実をならせるためには、実は人間が授粉をしてやらなくてはなりません。
花ひとつひとつに花粉をつけるこの作業が始まると、果樹シーズンスタートです。

この後、着果した小さな桃を適当な数に間引いていく摘果や、袋かけ・袋外し(桃の場合)、
さらに仕上げ摘果などを経て、ようやくひとつの桃ができあがります。

かわいいから思わずほおずりしたくなる桃。でも小さな毛が生えてるので、ほおずりすると毛が刺さって痛いって知ってました?

細かくて面倒な作業の積み重ねが、おいしい果実を作るのですね。

今年も豊作になりますように。

手島奈緒

2010.02.15

ほんものの食べもの日記 第6回「おいしいトマトの見分け方」

野菜売り場でパッと目を引くトマトの赤。ビタミンCや昨今話題のリコピン等、人間が必要とする成分が豊富なトマトは、その色でヒトをひきつけるのかもしれません。

2月下旬から3月にかけて、トマトの産地は東海や九州地方から関東地域に移ります。
5月上旬、産地が東北に移るまで、関東からの出荷が続きます。

この時期店頭では、ちょっとお高い高糖度フルーツトマトにも負けない
(…いや、やっぱり糖度8は絶対無理だけど…)
おいしい大玉トマトが見つかる確率が高い時期でもあります。

さて、おいしいトマトの見分け方、ご存じですか?

おいしいトマトはまだ緑色の時期から「私はおいしいわよ!」と主張します。地色に強いグリーンマークがしっかり出て、ヘタがしゅっと上を向いているもの、これがおいしくなるトマトの色合い。  

トマトはそもそも雨の少ない地域の出身。
家庭菜園などでトマト栽培をしたことがある方ならご存知かもしれませんが、
必ず「トマトは高うねにすること」と指南書に書いてあります。

日本の高温多湿の気候はトマトにはちょっとつらい。
したがって、昨今のトマトは基本的に施設内(ハウス)での栽培となります。

トマト栽培は水分のコントロールが難しく、多すぎると果実は太るけど味が薄くなり、
病気が出たり虫にやられたり…。

でも少な過ぎても病気は出るし、味はよくなるけど収量が悪くなり、
さらにハウス内の換気や肥料の塩梅、温度のコントロールなども相まって
実は、おいしいものをたくさん作るのは難しい作物。

また木の成長と果実の収穫を同時に行うため、農薬の回数も多くなりがちです。

埼玉県のHPで促成栽培のトマトの農薬回数を調べてみました。
慣行栽培で54回(成分カウント)。
※これは一本の木が苗の時期から収穫を終えるまでの期間の総農薬数ですから、
ひとつのトマトに全部かかっているわけではありません。

この回数を見ただけでもわかりますが、トマトを低農薬で栽培するのは、相当難しいのです。

店頭で「有機JAS認証」のシールが貼ってあるトマトを見つけたら
これは本当に貴重品。ぜひ買ってみてくださいね。

さて、トマトのおいしさを見分けるコツは、トマトの先端、そしてトマトの色合いにあります。

少しわかりにくいのですが、先端部分から白い線が伸びています。これは「スターマーク」と呼ばれ、おいしいトマトには絶対に入っていますから要チェック! 

強いグリーンの上に色が乗りますから、トマトの色はオレンジ色のものがお勧め。ピンク色がベースのトマトは糖度が低い傾向にあります。

写真のようなトマトであれば、糖度はおそらく6度程度はあると思います。
ドレッシングは本当に控え目にして、トマトの味が楽しめる料理で食べてみてください。

もちろん、ここぞ!という時、また今日はどうしても甘いトマトが食べたい!ってなときは、
フルーツトマトをお勧めします。絶対にハズレはありません。

手島奈緒