GREENSTYLE Cafe

GS Cafe

2011.04.01

木のおもちゃを

飛騨高山の木工房、オークヴィレッジの阿部です。

今、新宿御苑沿いにあります東京オフィスの窓から、御苑の木々と薄曇の空を見ています。

雀が何度かすぐ近くで鳴いて、飛び立ちました。

3月11日の3時前、この事務所でも大きな揺れが続きました。ナラの丈夫な机は、頼りがいがありました。今、こうしてキーボードを叩いているときも、肘はその机にふれています。そのささいな触覚から伝わる安心感があります。

私たちは、木をつかって暮しの道具をつくっています。11日以降に目にしつづけている映像、情報をどう考えたらいいのかわかりません。地面だけではない足元がぐらつく感覚を覚えながら、何ができるのか考えています。

3週間が経ち、新年度を迎えたことに驚きながら、足元を支えるのは日々の暮らしではないかと思っています。私たちは目や耳だけでなく、指先や頬や足底の肌から世界を知覚していて、そこから感じ取る世界は今も毎日きちんと続いています。気がつけば、新宿御苑では桃やコブシが花を咲かせ、桜もほころび始めました。一ヶ月前には厚い雪に包まれていた高山の本部工房でも、つくしが空へ向かい花が咲き始めました。

私たちは、木の積木を被災した地域の子どもたちに届けることを考えています。生きものそのままの木の肌ざわりが、確かなものの手がかりを伝えてくれたらと願っています。

阿部 乃里子