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2010.03.15

ほんものの食べもの日記 第8回 米づくりは儲かるか否か

日本全国で同じ機械を使い、同じような管理方法で栽培している作物、それが米。 他にこんな作物はありません。瑞穂の国、日本と呼ばれる所以ですね。

平成21年度のお米の価格を聞く機会がありました。

米の価格は、収穫が終わった11月~12月にかけて、JAに出荷している米農家に支払われる「仮渡金」と、翌年、前年の米が売り切れたあたりで最終価格の調整が行われて支払われる「追加分」の合計で決まります。

昨今あまり追加分が出ないというウワサを聞きますが、それはともかく。
※JAに出荷していない米農家はそれぞれの流通と価格を決めていることが多いのですが、仮渡金額は参考にされているようです。

さて、平成21年度産のアキタコマチ仮渡金は、一俵(玄米60kg)が12,300円(税込)でした。
特別栽培農産物でも有機農産物でもない、一般的な栽培(慣行栽培)での価格です。

…安いですね…。驚きました。
何年か前まで16,000円くらいだったと思ったんですが…。

日本人が一日に食べているお米の量をご存じですか? 一日約170gだそうです(平成20年度農水省統計)。約1合、お茶碗3杯…ちょっと少ない気がします。みんな何を食べてるのかな?

ニッポンの稲作はほかの作物と比較して省力化・機械化が非常に進んでいます。
限りなく効率化された結果、一戸あたりの面積もかなりの広さまで可能になりました。

そのため、一俵あたりの金額が多少安価でも、面積が広い農家であれば採算が合うようです。

しかし、中山間地の条件の悪い傾斜地などで栽培された場合、手間と経費がかかるため
18,000円~20,000円(1俵)くらいにならないと、かなり厳しいといわれます。
中山間地、とくに棚田から耕作放棄されていく、その理由のひとつ。米価の低迷です。

さあ、そこで、12,300円を検証してみましょう。

米の収穫量は10aあたり約10俵とします。
10俵採れたので、123,000円が10aあたりの売上になります。

このうち、利益はどれぐらいになるでしょう。

減価償却費、燃料、土地改良費、種苗代、農器具、修繕費等々が生産費になります。
この話をしてくれた農家の生産費は、1俵あたり約10,000円ということでした。
えーと、じゃあ、10俵あたりの生産費は…100,000円です。

えっ? ほんと? 10俵=10aだから…10aあたりの利益は…たった23,000円?
ええっ!! この価格で稲作を続けていけるの!?

東北地方では、一農家あたりの平均耕作面積は1ヘクタール以上といわれています。
(専業農家・兼業農家含めての平均)
それにしても、栽培面積が相当広くなければかな~り厳しい数字ですよね。
アキタコマチを1ヘクタール耕作したとして、一年の利益が、23万円!! ほんとですかあ!

ひょっとしたら、サラリーマンの一か月分の給与よりも安いかもしれません。
あんまりにもびっくりしたので、楽しく飲んでいた酔いがいっぺんに醒めてしまいました。

稲作には食料生産という役割以外に、とんぼやその他の水棲昆虫などの生命のゆりかごという役割もあります。これらの小さな生命が、もう少し大きな動物たちを支えています。米づくりについてもう少し考えてみたいですね。

私は知り合いの農家のお米を食べています。
翌年も再生産可能な価格が設定されていますので、上記のような価格ではありません。

が。

それにしても、ニッポンの一般的な米農家の行く末を案じざるを得ない話を聞いてしまいました。

わたしたち消費者にできることが、何かあるでしょうか?
この話を聞いてから、日々考えています。

手島奈緒